公立の小中学校における学級数及び教員数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(以下標準法という)で規定されている。しかし、この法律はあくまで標準数を定めたもので、都道府県の事情によって多少の増減が許されているところに注意しなければならない。
このうち学級編制は標準法第4条で、「都道府県の教育委員会が定めた基準に従い・・」、というようにしているが、標準法第3条に規定した児童生徒の定員数より多い定員数を定めることは禁止し、少ない定員を定めるようにしている。35人学級や少人数学習が可能になったのはこれによる。
児童自立支援施設では、中学校の場合3年生が多く、1・2年生が少ないという傾向がある。標準法施行令第1条によれば、1・2年生を合わせて8名以下であれば複式学級となるため、中規模以下の施設では、1・2年で複式学級となってしまい、中学生は年度当初に標準2学級という所が多い。ただし、義務教育諸学校教職員配置等の改善計画の中で、県によっては中学校の複式学級を廃止したところもある(山梨、静岡、兵庫 等)。これらの県では、各学年の在籍があれば中学校は標準3学級である。
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教員数は、標準法第7条第1項第1号で、「教頭、教諭、助教諭及び講師」の数は、学級数と学校規模別の乗ずる数によって決められる。これによると、次のようになる。
小学校 1学級−−教員1名 2学級−−教員2名 3学級−−教員4名
中学校 1学級−−教員4名 2学級−−教員6名 3学級−−教員8名
また同条第4号では、分校に対しては1名増員としている。
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さらに、加配教員として次の2つが示されている。
一つ目の加配は、同じ第7条第2項では「児童又は生徒の心身の発達に配慮し個性に応じた教育を行うため」として、3つの授業形態(TT、少人数、多様な選択教科)における増員である。この増員数は標準法施行令第2条でさらに文部科学大臣が定める数としており、別途通達が出されているが未確認である。
もう一つの加配は、標準法第15条(研修等定数)第1項「教育上特別の配慮を必要とする事情」によるもので、標準法施行令第5条第2項第2号に具体的な指導内容が示され、文部科学大臣の通達として、「学習指導上、生徒指導上又は進路指導上特別の配慮が必要と認められる事情を有する児童又は生徒に対して当該事情に応じた特別の指導」(14初財務第3の1号 平成14年4月1日 初等中等教育局財務課長通知文部科学省ホームページで公開中)で児童生徒支援加配の具体的内容が示されている。ただし、この加配は各都道府県内で、年度毎に指導が困難な順に配置される性質のもので、固定的なものではないことに注意する必要がある。
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ところで標準法をよく読むと、これは都道府県全体の教員数を算定する基準であることがわかる。都道府県教育委員会では、標準法に基づいて算出した教員数を議会の承認を得て(条例化して)国に報告し、教職員給与の国庫補助を受けるのである。都道府県内の小中学校にどのように教員を配置するかは、標準法の規定とは別の問題であり、都道府県独自の基準が標準法に近い形で別途定められ、それに基づいて困難校やそうでない学校への教員配置が行われるのが通例である。そうであれば、困難性を伴う施設の学校への教員派遣は、より優遇されなければならないはずである。 |
職種別の配置は次のようになっている。
副校長および教頭の数は標準法第7条第3項で2学級以下の中学校には配置せず、3〜5学級校の半数しか配置しないことになっている。施設内の場合は、教頭が実質的に小中兼任の場合が多いことから、1名配置が可能となる。
養護教諭や事務職員についても、標準法では2学級以下の学校には配置されないこととなっており、さらに標準法第16条第1項では、同一敷地内にある小中学校は一つの学校とみなすとある。このことは、小中学校の学級数を合計できるとも解釈できるので、小中学校の学級数が3学級以上であれば配置可能と解釈できる。都道府県によっては、小中併置校での養護教諭や事務職員の配置を児童生徒数で決めている所もある。しかし、養護教諭は学校教育法附則第7条(旧第103条)により「当分置かないことができる」とされているので、さらに配置は困難となる。したがって、学級数や児童生徒数による配置は実際には難しい。このあたりは、被虐待対応・特別支援対応・性教育指導といった点から、必要性を説くしかない。
校長については、標準法第16条での「本校及び分校は、それぞれ一の学校とみなす」の適用範囲が標準法第7条以降(教頭・教諭・講師・養教・事務)であるため、分校への配置は原則的にはない。ただし、本校との距離が大きく離れている場合は、実質的な管理運営ができなくなることが問題となる。
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