「教護院における指導の充実等について」(抜粋)
児発第318号
平成6年3月30日
各都道府県知事 殿
厚生省児童家庭局長
2 生活指導及び職業指導の充実について
(3)職業指導の充実
教護院における職業指導は、社会との接点を重視し、具体的な職業生活の中での自立を目指す教護院独自の指導分野であり、児童の職業意識や就職状況の変化に対応した指導の充実を図る必要がある。
そのため、従来から行っている比較的単純な作業や職能訓練に止まらず、職業への興味や肯定的感情を育てるよう、パソコン等を使った体験学習や多様な情報提供を推進すること。とくに中学卒業生に対しては、教護院内での職業生活への試験段階を経て職場実習に連なる総合的指導計画を整備し、円滑な社会的自立を促進すること。
3 学科指導の充実及び学校との連携の推進について
(1)学科指導の充実
教護院での指導は、児童の潜在的な諸能力を伸ばし、社会性と情操豊かな人間形成を進める中で行われるべきものであり、厚生省においても、学科指導員の配置等学科指導の充実に力を入れてきたところである。
各教護院においては、入所児童の特性や学力に応じて、指導内容を精選したり指導方法を工夫する等、学科指導の充実に一層努めること。
また、中学卒業生に対しては、学業の遅れを取り戻すための指導に止まらず、知的生活を豊かにして社会的自立を促進するため、個々の児童の興味と関心に応じた指導の充実に努めること。
(2)学校・教育委員会との連携促進
各教護院においては、定期的に個々の児童の指導状況を学校へ連絡する他、学校関係者の見学会や非行関係の指導担当者会議を開催する等により、学校との連絡を密にし、措置解除後に児童が円滑に学校復帰できるように努めること。
また、児童が高等学校等への進学を希望する場合には、それに対応する指導体制の充実を図るとともに、児童の努力が適正に評価されるよう、学校側の理解を得るように努めること。
なお、地域の小学校または中学校の分校や分教室を併設している教護院においては、とくに教護職員と教員との連携を密にし、一体的・計画的な指導体制に遺漏のないよう努めること。
(3)分校・分教室の設置について
児童福祉法第48条に定める、教護院長が学校教育法に準じて教育を行う権限は、教護院で学校教育が行われていない場合について規定したものであり、教護院に小学校又は中学校の分校・分教室を設置することを否定したものではない。
当局としては、福祉と教育の緊密な連携の下での学校教育の導入が望ましいと考えているので、各都道府県において学校教育の導入を検討するに当たっては、指導体制全般の充実を図るとともに、関係教育部門と話し合い、その協力を得て進めること。
なお、文部省においては、初等中等教育局長、教育助成局長通知「教護院に入院した児童生徒 の取扱いについて」(昭60.12.19 委初18)により、小学校又は中学校の分校・分教室を設置する場合には、「学校の設置者が教護院及び都道府県教育委員会と十分協議した上でおこなうこと」とされているので、念のため申し添える。