義務教育費国庫負担金の額の算定の基礎となる児童生徒数の適正な把握について

文教財第一七〇号
昭和六〇年一二月二三日

各都道府県教育委員会あて

文部省教育助成局長通知


義務教育費国庫負担金の額の算定の基礎となる児童生徒数の適正な把握について

このたび、会計検査院の昭和六〇年度実施検査において、一部の道府県について義務教育費国庫負担金(昭和五七年度及び昭和五八年度分の負担金)が過大に交付されている旨の指摘を受けました。義務教育費国庫負担金について、昭和五九年度に引き続き本年度も再び同様な指摘を受けたことは極めて遺憾であります。

ついては、標記の件に関し、貴管下市町村教育委員会及びその管下の学校に対し、左記事項を周知徹底し、今後、このようなことが再び生ずることのないよう十分指導されるとともに、今後、あえて事実に反する報告が行われた場合の事後措置については、厳正に対処されるようお願いします。

なお、貴教育委員会においても、学年当初の児童生徒数及び学級数の見込みについて、市町村教育委員会及びその管下の学校と十分連絡調整し、可能な限り正確を期するとともに、やむを得ない事情により見込み違いを生ずる場合を想定して、市町村教育委員会とも協議の上、学級編成の認可や教職員定数の配分について弾力的な対応ができるよう工夫すること等について検討されるようお願いします。

一 五月一日現在の児童生徒数の報告についての基本的事項

(一) 義務教育費国庫負担法による義務教育費国庫負担金は、各都道府県ごとに、公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律(以下「標準法」という。)による教職員定数を基礎として算定されているが、この教職員定数は、各学校から報告される五月一日現在の児童生徒数に基づき、標準法により計算される標準学級数を基礎として算定されることになっていること。

(二) 各学校から報告される五月一日現在の児童生徒数は、各都道府県ごとの義務教育費国庫負担金を算定するに当たって基本となる重要な数であり、校長としては、これについて、いやしくも、それ以前に既に他の市町村等へ転出していたり、私立学校等に在学していたりするなど、当該学校又は学年に在学していない児童生徒を在学していることとして実際より過大な報告をするようなことがあってはならないこと。

(三) わずかな児童生徒数の変動で、標準学級数に変動が生じる学年については、五月一日現在の児童生徒数の把握について、特に慎重を期すこと。

二 五月一日現在の児童生徒数の算定に当たって留意すべき事項

(一) 標準法による教職員定数の算定の基礎となる各学校における五月一日現在の児童生徒数の報告は、学年別、通常の学級・特殊学級の別により、同日現在で現実に在籍している児童生徒数について行うことになっていること。したがって、特殊学級に在籍している児童生徒を通常の学級の児童生徒数に含めないこと。

(二) 一年以上居所不明の児童生徒及び一年以上当該学校に通学していない児童生徒は、教職員定数の算定上は在籍者としないこと。

三 教護院に入院している児童生徒の取り扱い

(一) 教護院に入院している児童生徒について、小学校又は中学校の設置者が教護院の施設内にその分校又は分教室を置いて学校教育を受けさせていることにより、就学義務の猶予又は免除の措置がとられていない場合は、当該児童生徒を五月一日現在の児童生徒数に含めること。

(二) 教護院に入院している児童生徒が学校教育を受けていない場合は、当該児童生徒を五月一日現在の児童生徒数に含めてはならないこと。

四 転入学児童生徒の取り扱い

(一) 学年の中途に児童生徒が転学した場合、転学先の学校の受け入れた日は、学校教育法施行令第六条の規定により転学先の学校を所管する市町村教育委員会が指定した日とし、その指定した日が五月一日以前である児童生徒は、転学先の学校の在籍者として取り扱われること。

(二) 各市町村教育委員会は、市町村の区域内に転入してきた児童生徒を学齢簿に記載したときは、その旨を速やかに前住所地の市町村教育委員会に通知すること。

また、各学校においては、学年の中途に転学してきた児童生徒について、その受入れ日を速やかに当該児童生徒が転出した学校に連絡すること。

五 その他

各市町村教育委員会は、各学校から五月一日現在の児童生徒数が報告されたときは、その報告数と学齢簿(学校教育法施行令第一条から第三条までの規定に基づき各市町村教育委員会において整備しなければならないこととされているもの)における児童生徒数とを突き合わせる等して、児童生徒数の適正な把握に努めること。

【文部科学省ホームページ 告示・通達コーナーより】