6 就学指導・就学支援について
 
〇 障害のある児童生徒の就学について
   障害のある子供の教育に当たっては、その障害の状態等に応じて、可能性を最大限に発揮させ、将来の自立や社会参加のために必要な力を培うという視点に立って、一人一人の教育的ニーズに応じた指導を行うことが必要です。
   障害のある子供の就学先については、本人・保護者の意見を可能な限り尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、障害の状態や必要となる支援の内容、教育学等の専門的見地といった総合的な観点を踏まえて市町村教育委員会が決定することとなっています
 
〇 認定就学について   インクルーシブ教育の導入
   2002 年(平成14年)以前においては、一定の障害のある者(視覚障害者等)については、 例外なく特別支援学校に就学することとされていた。
 2002 年(平成14年)の改正により、認定就学制度が創設され、小・中学校の施設設備が整っている等の特別の事情がある場合には、例外的に特別支援学校ではなく認定就学者として小・中学校へ就学することが可能になった。
 2013年(平成25年)学校教育法施行令の一部が改正され、従前の「認定就学制度」が廃止され、新たに「認定特別支援学校就学者」という用語が導入された。
 特別支援学校において教育することとなる児童生徒は、就学基準に該当する児童生徒のうち、市町教育委員会が、その者の障害の状態、その者の教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況その他の事情を勘案して、特別支援学校に就学させることが適当であると認める者、これを「認定特別支援学校就学者」と言う。
 その障害の程度が就学基準に該当しない児童生徒については、特別支援学級において教育するか通常の学級において特別な支援を行う、または通級による指導を一部行うなど留意して指導することとなる。
 
〇 特別支援学級や通級教室の開設
   就学予定の小中学校に通級教室がない場合は、同一市町村内の他の学校にある場合はそこに通級することになります。
 また対象の通級教室がない場合や特別支援学級がない場合は開設を要望することが可能です。
 ただし、開設可能な空き教室の有無や備品の予算措置や教員配置に関係しますのでその期限に間に合うように手続きする必要があります。
 具体的には市町村の就学支援委員会での諮問 → 市町村教育委員会の決定 → 都道府県教育委員会への申請と許可 → 予算措置(10月まで) → 開設 となります。
 したがって年度途中に開設することはできません。
 
〇 通知等
  中教審初等中等教育分科会 特別支援教育の在り方に関する特別委員会報告より (平成24年7月23日)
   現在、多くの自治体に設置されている「就学指導委員会」については、就学先決定時のみならず、早期からの教育相談も含めた一貫した支援に重点を置くという観点から、「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当である。「教育支援委員会」(仮称)については、機能を拡充し、一貫した支援を目指す上で重要な役割を果たすことが期待される。
 
〇 関係法令
  学校教育法
  第17条

保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。
(略)
B 前二項の義務の履行の督促その他これらの義務の履行に関し必要な事項は、政令で定める。

  第81条

 幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとする。
A 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。
一 知的障害者
二 肢体不自由者
三 身体虚弱者
四 弱視者
五 難聴者
六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの
B 前項に規定する学校においては、疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特別支援学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。

   
  学校教育法施行令
 

第5条

 市町村の教育委員会は、就学予定者(中略)のうち、認定特別支援学校就学者(中略)以外の者について、その保護者に対し、翌学年の初めから二月前までに、小学校、中学校又は義務教育学校の入学期日を通知しなければならない。
  第11条

 市町村の教育委員会は、第二条に規定する者のうち認定特別支援学校就学者について、都道府県の教育委員会に対し、翌学年の初めから三月前までに、その氏名及び特別支援学校に就学させるべき旨を通知しなければならない。
以下 略

  第11条の2  前条の規定は、小学校又は義務教育学校の前期課程に在学する学齢児童のうち視覚障害者等で翌学年の初めから特別支援学校の中学部に就学させるべき者として認定特別支援学校就学者の認定をしたものについて準用する。
  第11条の3

 第十一条の規定は、第二条の規定により文部科学省令で定める日の翌日以後の住所地の変更により当該市町村の教育委員会が作成した学齢簿に新たに記載された児童生徒等のうち認定特別支援学校就学者について準用する。
 この場合において、第十一条第一項中「翌学年の初めから三月前までに」とあるのは、「翌学年の初めから三月前までに(翌学年の初日から三月前の応当する日以後に当該学齢簿に新たに記載された場合にあつては、速やかに)」と読み替えるものとする。
 2 第十一条の規定は、第十条又は第十八条の通知を受けた学齢児童又は学齢生徒のうち認定特別支援学校就学者について準用する。
   この場合において、第十一条第一項中「翌学年の初めから三月前までに」とあるのは、「速やかに」と読み替えるものとする。

  第14条

 都道府県の教育委員会は、第十一条第一項(略)の通知を受けた児童生徒等及び特別支援学校の新設、廃止等によりその就学させるべき特別支援学校を変更する必要を生じた児童生徒等について、その保護者に対し、第十一条第一項(略)の通知を受けた児童生徒等にあつては翌学年の初めから二月前までに、その他の児童生徒等にあつては速やかに特別支援学校の入学期日を通知しなければならない。
 2 都道府県の教育委員会は、当該都道府県の設置する特別支援学校が二校以上ある場合においては、前項の通知において当該児童生徒等を就学させるべき特別支援学校を指定しなければならない。

  第15条

 都道府県の教育委員会は、前条第一項の通知と同時に、当該児童生徒等を就学させるべき特別支援学校の校長及び当該児童生徒等の住所の存する市町村の教育委員会に対し、当該児童生徒等の氏名及び入学期日を通知しなければならない。
 2 都道府県の教育委員会は、前条第二項の規定により当該児童生徒等を就学させるべき特別支援学校を指定したときは、前項の市町村の教育委員会に対し、同項に規定する事項のほか、その指定した特別支援学校を通知しなければならない。

  第16条

 都道府県の教育委員会は、第十四条第二項の場合において、相当と認めるときは、保護者の申立により、その指定した特別支援学校を変更することができる。
 この場合においては、速やかに、その保護者並びに前条の通知をした特別支援学校の校長及び市町村の教育委員会に対し、その旨を通知するとともに、新たに指定した特別支援学校の校長に対し、同条第一項の通知をしなければならない。

   
  地方教育行政の組織おおび運営に関する法律
 

第21条

 教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
(略)
四 学齢生徒及び学齢児童の就学並びに生徒、児童及び幼児の入学、転学及び退学に関すること。
 ※ 教育委員会の業務として、特に小学校入学前に児童の就学先を知らせる義務がある。
  市町村附属機関設置条例で、教育委員会の附属機関として「就学支援委員会」が設置されている。(法令上の設置義務はない)
特別な支援を必要とする乳幼児、児童及び生徒の適切な就学支援その他の教育支援に関し、必要な事項について調査、審議及び助言すること。
委員の構成は、(1) 医師  (2) 学識経験を有する者  (3) 関係教育機関の職員  (4) 関係行政機関の職員  (5) 教育委員会が指名する職員  (6) その他教育委員会が適当と認める者
※ 就学先の認定に当たっては、医師・養護学校教職員等の専門家の意見が必要となるため諮問機関として就学支援(かつては適正就学指導または就学指導)委員会が設置されている。
  しかしながら、就学先の選定に当たっては保護者の意見が取り入れられにくいという問題点があり、現在はその改善が図られている。