公立義務教育小中学校は、基本的に市町村が設置義務者とされている。(学校教育法 第29条)ところが、一部に例外が認められている。盲学校、聾唖学校は昭和25年度に各都道府県必置となり、養護学校は昭和54年度から各都道府県必置とされた。さらに平成11年度から中高一貫校(中等教育学校・併設校・連携校)を都道府県も設置できることとなった。これらの4種類の学校については、市町村以外の設置が認められており、そのことは学校教育法に定義されているが、児童自立支援施設内の学校についての定義はない。
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このことを詳しく述べると次のようになる。
改正児童福祉法第48条は、「児童養護施設、知的障害児施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設の長並びに里親は、学校教育法
に規定する保護者に準じて、その施設に入所中又は受託中の児童を就学させなければならない。」としており、6種類の施設長に就学義務を課している。
このうち、知的障害児施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設は、学校教育法の中で盲学校・聾唖学校・養護学校が対応しているが、残る3つの施設の児童の通学に対応した学校は学校教育法には定められていない。従って、残る3つの施設の児童は、学校教育法の規定からすると市町村立の一般小中学校に通学することとなる。
この残る3つの施設に入所する児童の特性を見ると以下のようになる。
児童自立支援施設に入所する児童は、児童福祉法第44条「児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童を入所させ・・・・」にあるように、性癖や生活指導上に課題のある児童であり、一般小中学校での指導が困難とされた児童である。
児童養護施設は児童福祉法第41条「児童養護施設は、保護者のない児童(乳児を除く。ただし、安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には、乳児を含む。以下この条において同じ。)、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し・・」にあるように養護を中心としており、一般小中 学校への通学が可能な児童である。
情緒障害児短期治療施設は、児童福祉法第43条の5「情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有する児童を、短期間、入所させ・・」にあるように、軽度の情緒障害を対象として短期の治療を行うので、都道府県によって「軽度」の解釈が異なる。兵庫県のように施設内分教室を設置している所もある。
このように、残る3つの施設では入所児童の特性により、通学させる学校に違いが見られるにもかかわらず、法律上は一括して扱われているのが現状である。
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平成10年3月に文部省・厚生省から出された通達「児童自立支援施設に入所中の児童に対する学校教育の実施等について」では、「児童自立支援施設(以下「施設」という。) に入所中の児童に対する学校教育の実施形態は関係教育委員会において判断される」というように実施形態は決まっていないとしており、「地域の小中学校への通学や、児童自立支援施設内における分校、分教室の設置等の方法が考えられる」というように、地域の学校への通学もあり得るとしている。しかしながら、不良行為や生活指導等を要するという入所の理由からしても一般校への通学はあり得ず、実際に地域の小中学校に通学させている例はない。
このように、児童自立支援施設に入所中の児童が通学する学校は、現状では施設内に設置された分校・分教室しかあり得ない。ただし、分校の設置については、学校教育法施行規則第十八条で『小学校の分校の学級数は、特別の事情のある場合を除き、五学級以下とし、・・・」とあり、第五十五条で「・・中学校に準用する・・・第十八条中「五学級」とあるのは「二学級」と・・読み替えるものとする』という規定がある。小学校が該当することはないが、中学校の場合は2学級を越えることが生じる場合もある。この場合は「特別な事情」に該当するかどうかを確認する必要がある。
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